国会質問で首相がクイズ「法の支配の対義語」に答えられなかったことが話題になっている。
法の支配の対義語は、憲法を習う大学の1年生が、一番最初の日に習うことらしいが、教科書的な答えなら私のような高等教育を受けていないオッサンでも即わかる。サラブレッド政治家の首相が知らないわけがない。総理の誠実で思慮深い御人柄から、その場だけ取り繕うような答弁をなさるはずがない。近代政治の原理原則みたいな上っ面のきれいごとではなく、本当の法の支配について答えようと迷走なさったのだろう。
歴史と伝統が何より大切な美しい国では、本来「法の支配」とは「必要もない規制(ルール)を作っておいて恣意的に運用する」ことを意味する。つまり権力者が法律を盾に気に入らない人間をいつでも、どこでも、だれでも犯罪者にできるシステムのことである。我が国の社会秩序を維持するためには欠かせない。
多くの国民の皆さんがそのように理解しているこの意味での「法の支配」の反意にあたる言葉は何かと聞かれると、なんだろね? 誰もが答えに詰まるのではあるまいか。そんなことで首相を糾弾したつもりになっても、せんなきことと思うが……