macOS Sierra 10.12.3 がプリインストールされた iMac (Retina 5K, 27-inch, Late 2015) を新規購入したお客さんからセットアップを頼まれた。
Macのセットアップの仕事というのも久しぶりだ。
まずは、いつものように、ディスクユーティリティを使って、工場出荷時(納品時)の状態をディスクイメージファイル化して保存しようと試みたのだが……
使用済み20GB程度/総容量1TBの内蔵ドライブ全体を、空き容量63GBのUSBフラッシュドライブにイメージとして保存しようとすると、
“<保存先ドライブ名>”には空き領域が不足しているため、“<内蔵ドライブのメディア名>”ディスク・イメージ・ファイルを作成できません。操作を続けるには、空き領域が1 TB以上ある別のボリュームを選択してください。
みたいな、警告が表示されイメージを作成できない!
20GB程度しか中身がつまっていないディスクを圧縮イメージファイルで保存するために、1TBの空きが必要だとぬかすのだ。
旧いバージョンのディスクユーティリティでは、使用済みの容量分の空きがあれば内蔵ドライブを丸ごと圧縮イメージ化できていたのに。
これ、本当にアップルが作ったアプリケーションなの?
仕方ないので3TBの外付けハードディスクを用意して作業を続行するも、1時間たっても終わらない。
旧いバージョンのディスクユーティリティでは、20分〜30分で終わっていたのに。
ひょっとして未使用領域も含めて1TBのディスク全域を読みだしているのか? 使われているブロックだけ保存すればいいじゃん。なぜそうしない。
あきらめて、中断して別の方法でバックアップしようと思ったら、
キャンセルするボタンがない!? アプリケーションを強制終了するしか止める方法はなさそうだ。この「生まれ変わったディスクユーティリティ」を作ったエンジニアは自社で出している Human Interface Guidelines を読んだことがないのだろうか。
旧いバージョンのディスクユーティリティには、「キャンセル」ボタンがあったのに(それが当たり前)。
これ、本当にアップルが作ったアプリケーションなの?
仕方ないので放置しておいたら、1時間半以上かかってようやく終了。
できあがったイメージファイルのサイズは31.42GBだった。それなら最初に用意した63GB空きUSBフラッシュドライブでも収まるやん。おまけに圧縮したはずなのに、なぜ元の中身(20GB)の1.5倍にサイズが増えてんの?
旧いバージョンのディスクユーティリティでは、ちゃんと元のサイズより小さくなっていたのに。
これ、本当にアップルが作ったアプリケーションなの?
作成したイメージがリストアできるか確認してみると、さらに恐ろしいことが。
復元プロセスを完了できませんでした。続けるには、“完了”をクリックします。
Validating target... Validating source... Source volume format on device "/path/to/soruce.dmg" is not valid for restoreing Could not validate source - Invalid argument 操作が失敗しました…
なんと、アプリケーション自身が作成したディスクイメージを復元できないのだ。
旧いバージョンのディスクユーティリティでは、10分そこそこで簡単に工場出荷時状態に復元できていたのに。
「生まれ変わったディスクユーティリティ」これ、本当にアップル純正のアプリケーションなの?
作成されたイメージファイルが壊れているのかと疑い、ターミナルからコマンドを使って調べてみたが、壊れているわけではないようだ。マウントすることもできる。
少し試行錯誤してみたところ、次の手順で復元できることが分かった。
ディスクユーティリティを起動し、内蔵ドライブのメディア(パーティションではなく、その上位階層のディスクアイコン)を選択して、ツールバーの「消去」アイコンをクリックする。
名前: 名称未設定、フォーマット: Mac OS Extended (Journaled)、方式: GUIDパーティションマップ、として「消去」ボタンをクリックする。
復元元(もと)のディスクイメージを含む外部ディスクを接続する。
ファイルメニュー「ディスクイメージを開く...」を選択し、復元元となるディスクイメージを開く(マウントする)。
内蔵ドライブのボリューム「名称未設定」(ドライブではなくその下位階層のボリュームアイコン)を選択し、マウント解除する。
ツールバーの「復元」アイコンをクリックする。
「復元元: Macintosh HD」を選択し(イメージファイルではなく、先ほどマウントしたディスクイメージ内のボリューム Macintosh HD を選択する)、「復元」ボタンをクリックする。5分ほどで完了する。
面白いことに、この操作で(直接指定していない)復旧パーティションまでも復元される。
復元が完了したら、ディスクイメージ内のボリューム Macintosh HD をイジェクト(取り出す)してから、外部ディスクをイジェクトして取り外す。
最後の仕上げに、もともと出荷時はCore Storageの論理ボリュームだったMacintosh HDが、物理パーティションに復元されているので、これを論理ボリュームに変換する。
ターミナルを開いて次のコマンドを実行する。
# diskutil mountDisk disk0 # 内蔵ディスクをマウント # diskutil CS convert 'Macintosh HD'
これで、一応、工場出荷時に近い状態に復元できた(復元後、微妙にヘンな部分があるが目をつぶる)。
なんとか復元はできたものの、いくらなんでも、これはひどいと思うので、アップルのサポートに電話して、こういうわけでディスクイメージの作成/復元がまともに機能しないんだけどおかしくない?(私の操作が間違ってるの?)と聞いてみたところ、エンジニアに確認するからしばらく待ってね、ということになった。
アップルから回答があり、OS X El Capitan 10.11 で登場した「生まれ変わったディスクユーティリティ」からはメディア(ディスク)全体のイメージファイルから工場出荷時の状態に復元するための機能は削除されたとのこと。つまり、公式見解としては復元できないのが正しい動作である。
なぜ、手軽で便利な素晴らしいバックアップ/リストア手段をなくしてしまうのか理解に苦しむ。アップルさん、ぜひディスク全体のイメージからの復元機能を復活させてください。お願いします。頼むよホント。このボロボロな生まれ変わったディスクユーティリティなんとかして〜。
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