Time Machineは、Macのバックアップ機能である。Mac OS X Leopard 10.5からの標準装備だ。
macOS Catalina 10.15.7まではバックアップディスク自体からMacを起動してOSを含むシステム全体をリストアできて(内蔵ディスクが損傷し交換した場合など)非常に便利であった。
macOS Big Sur 11.0.1からはバックアップディスクのフォーマットとしてAPFS (Apple File System)が使用できるようになった。のはいいのだが、バックアップディスクからの起動やシステム (OS) の復元ができなくなり、利便性は低下した。
macOSユーザガイド「MacのTime Machineに使用できるディスクの種類」によると、
Time Machineでは、Mac OS拡張フォーマット(ジャーナリング)、Mac OS拡張(大文字/小文字を区別、ジャーナリング)、およびXsanフォーマットのディスクでのバックアップにも対応しています。
ということなので、Time Machineのバックアップディスクとして使えるフォーマットは、
- APFS
- Mac OS拡張
- Xsan
であることが、うかがえる。
ある日、macOS Ventura 13.4.1上で、「Mac OS拡張フォーマット(ジャーナリング)」で初期化したディスクをTime Machineバックアップディスクにして、バックアップを作成したところ……
あれ? いつの間にか、バックアップディスクのフォーマットが「APFS(大文字/小文字を区別)」になってんじゃ〜ん。
こちとら JHFS+ ボリュームにバックアップとりたいんだよ。
ユーザに黙って、勝手にフォーマット変更すんじゃねえよ!
macOSユーザガイドには再フォーマットについて次のように書かれている。
APFSまたはAPFS暗号化ディスクは、Time Machineバックアップディスクの推奨フォーマットです。まだAPFSディスクとしてフォーマットされていない新しいバックアップディスクを選択すると、消去して再フォーマットすることができます。ディスクが既存のTime Machineバックアップを含むMac OS拡張フォーマットディスクの場合、ディスクの消去と再フォーマットは求められません。
まんざら嘘でもないが、この文書で示されている条件はあまり的確とはいえない。
「消去して再フォーマットすることができます」とあるが、できる/できないの問題じゃなくて、そもそも再フォーマットしなければバックアップディスクとして使えない。
また、既存のTime Machineバックアップを含む「Mac OS拡張フォーマットディスクの場合」は再フォーマットしなくてよい、との限定条件も示されている。
しかし、既存のTime Machineバックアップディスクであれば JHFS+ であろうと APFS であろうと再フォーマットを求められることはない。
実際の挙動を分かりやすく整理してみよう。
システム設定を使ってバックアップディスクを追加する場合、
- すでにTime Machineバックアップディスクとして初期化済み(これまで使っていたバックアップディスクを引き継ぐとか、別のMacで使っていたバックアップディスクを接続したとか)ならそのまま使える。
- まったく新規にバックアップディスクを追加する場合は、問答無用で もれなくAPFSで再フォーマットされてしまう
のである(Big Sur以降だとね)。
システム設定「一般」>「Time Machine」の「バックアップディスクを追加…」から、ディスク(ボリューム)を選択したとき、次のようなモーダルダイアログが表示される場合、そのボリュームは再フォーマットが必要ということだ。
このダイアログではボリュームをどのように再フォーマットするかを設定する。 暗号化のオン/オフ、ディスクの使用率の制限が行える。
ちと脱線するが Big Sur と Monterey では、バックアップディスクを設定するかどうかを尋ねる通知パネルから「設定」をクリックすると、いきなり次のようなダイアログボックスが表示されていた。
これでは、まるで暗号化が必須のように見える。 暗号化を無効にしたい場合は、ESCキーでダイアログを終了するか「別のディスクを選択」ボタンをクリックしてから同じディスクを選択するという、直感的ではない操作が必要だった。
このUIについては、アップルに文句をいった甲斐あってか、前述のような具合にVenturaでは改善されている。
閑話休題、このようにGUIからバックアップディスクを追加すると強制的にAPFSにされてしまうが、ターミナルからtmutilコマンドで指定すればMac OS拡張フォーマットのディスクもそのまま使える。
% sudo tmutil setdestination '/Volumes/Time Machine HD'
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