MacのTVアプリが挙動不審

Apple TV+ はアップルが提供する動画ストリーミングサービスだ。 macOS Sonoma 14.6.1付属のApple TVアプリ (TV.app) バージョン 1.4.6.32を使うとMac上でもApple Originalの映像作品を楽しめる。

ウチでは、Macにディスプレイを2台接続し、主ディスプレイ（メインディスプレイ）で何か作業しながら、拡張ディスプレイ（サブディスプレイ）に全画面表示でApple TV+の動画を流し続けていることがある。 いわゆる、ながら観(み)というやつだ。

Apple Original、なかなか面白い作品があるのでそこはいいのだが……

困ったことに、ときどき、フルスクリーン再生が解除されるタイミングでTVアプリのビューア（ビデオ再生ウインドウ）の映像が消えてしまい、音声だけがどこからともなく再生され続ける状態になることがある。

ビューアはどこへ行ったのだ？ どこを探しても見当たらない。

動画再生アプリでは、ESCキーによりフルスクリーンを解除した場合には、ビューアは通常のウインドウ表示に戻る。プロセスの切り替えによりフルスクリーンが解除されたときは、Dockにあるそのアプリのアイコンをクリックする、あるいは、command + TABでそのアプリに切り替えると再びフルスクリーン表示される、というのが一般的な挙動だろう。 TVアプリは、これらの操作を行っても、ビューアは消えたまま戻ってこない（ことがある）。

そもそもウインドウメニューに「ビューア」（に相当する項目）が表示されないのがヘンじゃない？（「TV」と「アクティビティ」はあるのに）

近年のアップル製ソフトウェアにありがちな、雑な作りのUIだ。

この困った状態を再現する方法を調べてみた。次の手順を実行してみよう。

1. Safariでウインドウを1枚だけ開き、サブディスプレイに配置する。※ここでは例としてSafariを挙げたが他のアプリでもよい。
2. サブディスプレイにTVアプリのウインドウを配置する。
3. TVアプリで動画をフルスクリーン再生する。
4. DockのSafariアイコンをクリックする（Safariのウインドウが最前面になる）。
5. TVアプリのビューア（映像）が消えてしまい、音声だけが再生され続ける状態になる。

マルチディスプレイではなくディスプレイが一つだけの場合でも、次の手順で再現できる。

1. TVアプリで動画をフルスクリーン再生する。
2. キーボードショートカット command + 0 あるいは option + command + L を押下する。
3. TVアプリのビューア（映像）が消えてしまい、音声だけが再生され続ける状態になる。

さて、この気持ちの悪い困った状態を解消する方法はというと、コントロールメニュー「一時停止」を選択してから、コントロールメニュー「再生」を選択すると、ビューア（フルスクリーン表示）が蘇る。 もっとも、これでも蘇らないこともあるので、そのときはTVアプリを一旦終了して開き直すしかない。う〜ん、ポンコツだ。

他にも、「Apple TV+で次に観る」に表示される動画サムネイルのミートボールメニューには「エピソードに移動」はあるが、「番組に移動」がないのが不便だ、とか、

拡張ディスプレイ側に配置したウインドウが、いつのまにやら勝手に主ディスプレイに移動してしまう（サブディスプレイにあるTVウインドウのサムネイルの再生ボタンをクリックしたのに、メインディスプレイに動画が表示され、イラっとする）、とか、

TVアプリについては細かい点について色々と文句を言いたくなるのだが、目立って珍妙なのは、AirPlayボタンの挙動だ。

『TVアプリユーザガイド』の「MacのTVアプリで再生中の項目をコントロールする」には次のように書かれている。

スピーカーを選ぶ: AirPlayボタン をクリックしてから、使用したいスピーカーを選択します。

HomePodやHomePod miniなどのネットワークスピーカー、ワイヤレスヘッドフォン、AirPodsなど、AirPlayまたはAirPlay 2に対応するデバイスでサウンドを再生できます。

「スピーカーを選択」「サウンドを再生できます」という記述から、AirPlayデバイスに音声だけを転送するものとユーザーは考えるだろう。 （AirPlayボタンのアイコンだけ見ると、すべてのデバイスに映像も音声も転送されることが期待される。）

ところが、実際の動作は、AirPlayデバイスを1つだけ選択している場合、（そのデバイスがApple TVやMacのようなAirPlayレシーバーなら）サウンドだけでなく 映像もそのデバイスで再生される。

AirPlayデバイスを複数選択した場合は、それらのデバイスでサウンドだけが再生され、TVアプリを実行しているMacも含めて 映像はいっさい再生されない。

まったくマニュアル（ヘルプ）の記載どおりに動作していない。ユーザが期待するであろう動作にもなっていない。

近年のアップル製ソフトウェアにありがちな、わけの分からんUI/UXだ。

なんとかしてよ、アップルちゃん。