2016-05-28

iBooksがプレビューの使用を強要する

OS X El Capitan 10.11.4 から iCloud Drive を使って、 iBooks のコレクションに登録したPDF書類を同期できるようになった。

これは便利そうだ。ということでiCloud Driveでの同期を試してみたところ……

これまで iBooks コレクション内のPDFアイコンをダブルクリックすると Adobe Acrobat Reader DC が起動してPDFファイルを開いていたのに、iCloud同期後は、なぜか OS X 純正のPDFビューアーであるプレビューが起動するようになってしまった。

ウチではPDFファイルを開くデフォルトアプリケーションとして Acrobat Reader を指定しているにも関わらず、そんなことはお構いなし、iBooksはユーザーの意向を完全に無視してプレビューでしか開かない。否が応でもプレビューで開く。やめてくれ。

プレビューを使わなくなった理由は、以前「El Capitanのプレビューがひどい」に書いた通り。

こちらとしても、できることなら Apple 純正品であるプレビューで済ませたいところをPDFのレンダリング品質が耐え難いほど低いので、仕方なく、わざわざ Acrobat Reader を別途インストールして使っているというのに。

そんなプレビューの使用を強制するとは、新手の嫌がらせか? これは?

アップルのサポートに電話してiBooksの挙動がおかしいんだけどなんとかなりませんか?(Acrobat Readerで開くようにできないのか)と相談したところ、エンジニアに調べさせるからしばらく待ってねってことになったので、待ってる間にこちらでも原因を調べてみた。

iBooksはコレクションとしてPDFファイルを管理できるが、自身ではPDFを表示することはできない(EPUBはiBooksアプリケーション自身で表示できる)。このためiBooksはPDFファイルを開くよう要求されると、OSの仕組みに従って表示可能なアプリケーションを探し出し、後の処理を任せるようになっている。

iCloud Drive内に置かれたコレクションのファイルはシステムによりiBooksで開くことを強制される(ユーザーによるアプリケーションの指定は無視される)ようなので、iCloud Driveを使用している場合と、そうでない場合についてiBooksが後処理を任せるアプリケーションの選択は次のようになる。

iCloud同期 PDFを処理するアプリケーション
使用する iBooks
使用しない Acrobat Reader(ユーザー指定)

つまり、iCloud同期を使っていると、iBooksは、iBooksでは表示できないPDFファイルをiBooks自身で開くように要求する羽目になる。 おそらくiBooksのプログラムでは、こういうドグラ・マグラに際して、必ずプレビューを起動することで回避するようにハードコーディングされているのだろう。

多くのユーザーが困らないのは、PDFを開くデフォルトアプリケーションをユーザーが独自の設定に変更していない場合、

iCloud同期 PDFを処理するアプリケーション
使用する iBooks(=Preview)
使用しない Preview(システムデフォルト)

となるので、一見なんの問題もないように見えるからである。

iBooksの挙動を分析した結果、原因をこのように推定した。この話を聞いて、Mac用のアプリケーションを書いたことがあるプログラマーなら、問題を起こしているコードの断片が頭に浮かんできたのではないだろうか(iBooksはオープンソースじゃないので、推測が合っているかどうか確かめられないが)。アップルの優秀なエンジニアなら、どうすればユーザーの期待する動作になるか、40秒でわかると思うので、なるべく早く直してほしい。


2016-06-30 アップルから回答があった。驚くべきことに、アップルのエンジニアによると「それは仕様です」じゃそうな(つまり、不具合ではないので、直す気はない)。

ううむ、これが仕様とな? iBooksのヘルプでも、アップルのサポート文書からもこのように動作すると書かれた箇所を見つけられないのだが? ユーザー側はどのような情報からそういう仕様だと判断すればいいの(私が見つけられないだけで、どこかにあるのか)? 素人目には、不具合にしか見えないが、ホントに仕様なの? それでいいの?

よしんば、「バグも明文化すれば(あるいは仕様と言い張れば)それは仕様」の法則に従って、

iCloud同期をオンにするとPDF書類はプレビューでしか開けなくなります。

これが仕様だとしよう(ダジャレになってしまった)。

アップルのエンジニアさんにお聞きしたい。 Macを長年使ってきたユーザーが、これまでの経験から、このような挙動を予測、期待すると思いますか? プレビューでしか開けないようにすることで、どのようにユーザーの利便性が向上していますか?

一言(ひとこと)「仕様です」で済ませるんじゃなくて、この設計にどのような優位性があるのか、わざわざこのような仕様にしている理由を説明してもらいたいものである。

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