2019-10-13

それは仕様です

それは仕様です。

といえば、1990年代、PC市場を支配し、栄華を極め、その専横ぶりから「悪の帝国」とまで呼ばれ、米国司法省と独禁法違反を巡って争い続けていたマイクロソフトが、有償サポートサービスに助けを求めてきた顧客に対して言い放った台詞として、つとに有名である。最近は、マイクロソフトもすっかり好々爺になってしまったので、そんなエピソードを知っているのは年寄りだけかもしれない。

近年、カスタマー・エクスペリエンスの向上を目指すICT企業各社は、サポートにも力を入れており、いまどき、顧客の質問にこのようなつっけんどんな答え方をする技術サポート要員はいない。

いない。いない。いない…… ハズ、だ。と、思っていたのだが、先日発売された新製品を購入した某社に、その奇妙な挙動について問い合わせたところ、久々に、

それは仕様です。

を、ブチかまされた。

サポートに「仕様です」と回答されると、脳内で「どうせ素人に技術的な説明なんかしてもわからないだろ。グダグダ言わずに、だまって、そのまま使ってりゃいいんだよ。いちいち電話してくんな。」に変換されるため、思わずブチ切れて、「ちーがーうーだーろー!」「このハゲ〜!」(©豊田真由子衆議院議員(当時)2017ユーキャン新語・流行語大賞ノミネート)と怒鳴り返してしまう。歳をとって気が短くなったせいもあるかもしれない。

21世紀に突入してから、はや十数年が経過した今日、多くの企業が顧客満足度を上げるために努力を重ねてきた結果、20世紀に比べカスタマーサポートの品質は、かなり向上している。いまだに「仕様です」とか言ってるサポート要員がいることに驚きを禁じ得ない。

もっとも、仕様ですという答えが一概に悪いとはいえない。

ユーザーの質問の答えに該当する明解な情報を、メーカー側がきちんと、

  • マニュアル(取扱説明書)
  • ソフトウェアのヘルプ
  • メーカーの公式なサポート文書
  • メーカーの公式な開発者向け技術文書

などで公開している場合は、「それは仕様です。詳しくは、どこそこに記載してありますのでご覧ください。」という回答でも問題ない。 公的規格やデファクトスタンダートに従っている場合は、その仕様通りですと言ってもいいだろう。

ユーザーが奇妙に感じる(経験則に外れた、不可解な)動作にも関わらず、それが正しい動作かどうかをユーザーが確認できないような状況で安易に「仕様です」とかぬかすなよ。

さて、サポートへの質問のコツとして、それは仕様ですというアホアホ回答を回避する方法がある。

「〜について、どのような仕様になっているのか、わかりやすく説明してください。」

と聞けばよいのだ。のっけから「仕様を説明せよ」と要求すれば「仕様です」とは答えられない。

ハズなのだが、新井紀子氏の研究によると、日本人の読解力は壊滅的(中高生の半数近くが人工知能「東ロボくん」以下)らしいので、「どのような仕様ですか?」という質問に「仕様です」と答えるサポート要員が存在する可能性も否定できない。

そんなときは、『バカの壁』と諦めて、そのようなサポート要員を雇っている会社の製品やサービスは、できるだけ買わない(購入量を減らす)ようにするしかないだろう。

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