生まれ変わったディスクユーティリティディスクユーティリティがさらに使いやすくシンプルになったため、ドライブのパーティション作成や複数のハードドライブの管理が一段と簡単になりました。
──「OS X El Capitanでの進化」アップルの新機能紹介ページより
OS X El Capitan 10.11 ではディスクユーティリティ("/Applications/Utilities/Disk Utility.app")が刷新され、それまでとは全く違うアプリケーションになった。
OS X Yosemite 10.10 まではストレージ用万能ツールだったディスクユーティリティは、El Capitanでは見る影もない低機能ソフトウェアへと大進化を遂げてしまったのだ。
機能が削られまくっているのは仕方がないとあきらめてコマンドラインツールを使うにしても、El Capitanに搭載されたディスクユーティリティのUI/UXのひどさは、
これ本当に Apple の作ったアプリケーションなの?
と、疑いたくなるレベルである。
この生まれ変わったディスクユーティリティ、使い込めば使い込むほど奇妙な動作を発見してしまうのだが、細かな引っかかりを感じる点を挙げてみると、
- 新しいウインドウを開けないため、複数の作業を並行して実行できない
- まるで幅が変えられるかのような形状にマウスポインターが変化するにもかかわらず、サイドバーの表示幅を変更できない。ウインドウサイズ自体も変えられない
- フォルダからディスクイメージを作成しようとすると、そのデフォルト保存先が今まさにイメージ化しようとしているフォルダの中になっている(とても気持ち悪い、保存先は親フォルダの中というのがフツーじゃないの?)
- イメージ作成時、同じ名前のファイルが存在した場合に警告がでない!? 「置き換えてもよいか?」とたずねることもなく黙って上書きしてしまう
- イメージ作成を開始すると途中でキャンセルできない(長時間かかる場合にも中断できず、終わるまで待たなくてはならない)
- マスター・ブート・レコード形式ディスクのパーティションを編集できない(アップルに聞いたところでは、これは仕様じゃそうな。なんで、そんな仕様にしたのか理解に苦しむ)
- 内蔵SSDを選択し、消去しようとするとエラーが発生する(回避手順はあるがユーザーからは、なぜエラーになるのか分かりにくい)
- CD-RWメディアを消去できない
- CD-ROMメディアをまともにイメージ化できない(まともなCD-Rが焼けないイメージが作成される)
- JHFSXの新規ディスクイメージが作れない(メニューから選択できるにもかかわらず)
- メディア全体をイメージ化したファイルを復元できない
- ジャーナル記録を停止できない
などなど、操作の状態を正しくユーザーにフィードバックしない、直感に反したおかしな動作は枚挙にいとまがない。
中でも極めつきの面白パターンを紹介する。 OS X El Capitan 10.11.5 で次の操作を試してみてほしい(良い子はマネしない方がいいかもしれない)。
- Mac OS 拡張フォーマットで初期化したUSBフラッシュドライブを用意する(ボリューム名が deadlock であるとする)。
- ターミナルを開いてUSBフラッシュドライブ上のディレクトリに移動 (cd /Volumes/deadlock/) する 。
- ディスクユーティリティのサイドバーでボリューム「deadlock」を選択する。
- 「ファイル」>「新規イメージ」>「“deadlock”からのイメージ作成」メニューを選択する。
- 適当な場所を選択して「保存」ボタンをクリックする。
- エラーが表示されるので「OK」ボタンをクリックする。
- シートもウインドウも閉じられず、メニューバーから終了もできなくなる。
要するに、ボリューム上のファイルが開かれたままの状態で、そのボリュームをイメージ化しようとすると操作不能に陥ってしまい、ディスクユーティリティを強制終了するしかなくなるのだ。
OS X Yosemite 10.10.5 付属のディスクユーティリティでは同様の操作をしてもこのようなクルクルパーな動作はしない。ちゃんと、わかりやすいメッセージが表示されて処理は正常に中断される。いたって普通の挙動である。
El Capitanのディスクユーティリティの出来の悪さに呆れ果てたのか、海外では、旧バージョンである Yosemite のディスクユーティリティにパッチを当てて El Capitan で使うという荒技に出ている人もいるようだ。
アップルのサポートに電話して、できれば、以前のディスクユーティリティに戻してほしいもんだが、それは無理だろうから、せめてまともに動くようにしてもらえませんかね? と相談したところ、エンジニアに調べさせるからしばらく待ってね、とのことである。
2016-05-30 アップルから回答があり、他にも文句を言ってる人が大勢いるので、今後のアップデートで改善予定とのことである。アップル先生の次回作にご期待ください。
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