Qt 5.7のご時世だが、いまさら、Windows 7 SP1 32-bit上にQt 4.8.7開発環境を再現する方法をメモしておく。 Qt 4.8.7はQt 4.8系の最終版である。
Qt 4.8.7 MinGW版をインストールする手順は次の通り。
Qtダウンロードサイトのオフィシャルリリースのアーカイブ http://download.qt.io/official_releases/qt/4.8/4.8.7/ からインストーラー qt-opensource-windows-x86-mingw482-4.8.7.exe をダウンロードしてインストールする。
インストールウィザードを進めていくと途中でMinGWの所在を聞かれる。 https://wiki.qt.io/MinGW によると Qt 4.8.7 に対応する MinGW は mingw-builds i686-4.8.2-release-posix-dwarf-rt_v3-rev3 である。
MinGW Installation のステップでウインドウ内に表示されているリンクをクリックすると i686-4.8.2-release-posix-dwarf-rt_v3-rev3.7z をダウンロードできる。これを展開し、C:\mingw32に配置してからインストールを進める。
この世代のQtインストーラーはQt Creatorを含まないので別途インストールする必要がある。
Qt Creator https://wiki.qt.io/Old_Qt_Creator_Releases は2.x系の最後のバージョンである 2.8.1 あたりがよいかと思われる(新しいバージョンだとインストーラーが64-bitのみだったりするので)。
Qtダウンロードサイトのオフィシャルリリースのアーカイブ http://download.qt.io/official_releases/qtcreator/2.8/2.8.1/ からインストーラー qt-creator-windows-opensource-2.8.1.exe をダウンロードしてインストールする。
インストールが完了したら、Qt Creatorを次のように設定する。
- 「ツール」>「オプション…」メニューを選択する
- 「ビルドと実行」>「コンパイラ」タブで「MinGW」を追加する。「コンパイラのパス(C): C:\mingw32\bin\g++.exe」
- 「ビルドと実行」>「Qtバージョン」タブでqmakeのパスを追加する。「qmake のパス: C:\Qt\4.8.7\bin\qmake.exe」
- 「ビルドと実行」>「キット」タブで、コンパイラ(MinGW)とQtバージョン(Qt 4.8.7)を設定する。
ついでにMacにQt 4.8.7開発環境をインストールする方法も書き残しておく。
Mac OS X Snow Leopard 10.6.3と、それに付属するXcode 3.2がインストールできて、かつ、64-bitアプリケーションを実行できる古いMacを持っているならQt 4.8.7開発環境の再現はたやすい(前提条件を満たすのがたやすくないか?)。
次の3つのファイルをダウンロードしてきてインストールすればよい(Qtオフィシャルサイトから配布されているビルド済みバイナリーインストーラーは64-bit版しかない)。
- qt-opensource-mac-4.8.7.dmg
- qt-opensource-mac-4.8.7-debug-libs.dmg
- qt-creator-mac-opensource-2.8.1.dmg
そんな古いMac持ってないよ、という場合は、VirtualBoxなど仮想マシンにMac OS X Lion 10.7.5とXcode 4.2.1あたりをインストールするとよいだろう。
32-bit開発環境を構築するのは、さらに面倒である。ビルド済みのバイナリーは提供されていないので自分でコンパイルしなくてはならない。
実機を使う場合は Intel Core Solo か Intel Core Duo を搭載した、とっても古〜い初期のIntel Macを用意しなければならない。 ソフトウェアは64-bitの場合と同じく Mac OS X Snow Leopard 10.6.x と Xcode 3.2.x の組み合わせがいいだろう。
OSのライセンスの関係で仮想マシンに32ビット環境を再現するには、サーバー版(Mac OS X Server v10.6 Snow Leopard Server)が必要である。この世代のクライアント版Mac OS Xは仮想マシンにインストールできない。
というわけで、激しく面倒なので、できれば64ビット環境ですませたいところだが、どうしても32ビット環境が必要な場合は次の手順で構築できる。
Qtダウンロードサイトのオフィシャルリリースから次の2つのソースコードアーカイブファイルをダウンロードする。
- qt-everywhere-opensource-src-4.8.7.tar.gz
- qt-creator-2.8.1-src.tar.gz
Qt Libraryをソースからインストールする方法は http://doc.qt.io/qt-4.8/install-mac.html に解説がある。アーカイブを展開したディレクトリーに移動して ./configure;make;make install すればいい。
$ ./configure -arch x86 -no-qt3support -no-webkit \
-nomake examples -nomake demos -nomake docs \
-opensource -confirm-license
$ make
$ sudo make -j1 install
低速な昔のMacだとビルドするのに数時間かかる。 Mac mini (Early 2006) Intel Core Solo 1.5GHz だと3時間半くらい。
標準のインストール位置は /usr/local/Trolltech/Qt-4.8.7/ なので、qmakeが実行できるように ~/.profile なりで、
PATH=/usr/local/Trolltech/Qt-4.8.7/bin:$PATH
export PATH
のようにパスを追加しておくといいだろう。
Qt Creatorをソースからインストールする方法はアーカイブ同梱のREADMEに書かれている。ビルド/インストール方法はアーカイブを展開したディレクトリーに移動して qmake;make する。
$ qmake -r
$ make
これまたビルドに時間がかかる。2時間くらい。 ./binディレクトリー内に "Qt Creator.app" が生成されるので /Applications/ にでも移動する。
開発環境と実行環境の両方を32ビットに合わせなくてもいいなら、64ビット開発環境で32ビット用のバイナリーを生成するという手もある。
古いQtアプリケーションをメンテナンスする必要が生じたときのための古代開発環境再現方法メモでした。
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